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FOOD PRODUCTS

山家漬

新潟県

清酒 八海山純米吟醸の酒粕を使用し、上品な味わいに仕上げた酒粕漬。錦糸瓜や越瓜、巾着なすなど、魚沼の地野菜を使っています。化学調味料や保存料などの添加物は一切使わず、200年来の蔵と木桶で、昔ながらの製法で作られた伝統の味わいをぜひ。

Product製品

山家漬(越瓜・錦糸瓜・きゅうり・なす・わらびの詰め合わせ) は小折(350g)1944円から。

木桶と蔵は今成家の宝。ここに棲む乳酸菌などの微生物が山家漬の味を醸し出す。

「漬け上がれば、良い素材と悪い素材の違いがはっきりと分かる」と工場長の味岡さん。味岡さんはご店主の義兄にあたる。

魚沼の地野菜を銘酒八海山の酒粕で漬けました

芳醇な香りと甘みのある熟成した味わい

自遊人の魚沼オフィスがある南魚沼市六日町に、知る人ぞ知るお漬け物の逸品があります。六日町商店街の一角に店を構える今成漬物店のかす漬け『山家漬』(やまがつけ)です。
越瓜(こしうり)や錦糸瓜(きんしうり)、なす、きゅうり、わらびなど、魚沼の地野菜や山菜を地元の銘酒「八海山」の酒粕で漬けたお漬物で、初めて食べたとき、その芳醇な香りと上品な味わいに感動しました。とくに、錦糸瓜のかす漬は珍しく、口の中で糸のようにほぐれる独特の食感がたまりません。酒の肴としてつまんでもよし、ごはんのおともとして食べてもよし、おもてなしにも最適な魚沼の逸品です。

100年以上も前から愛されて続けている名品ですが、販売量はほんの少し。なぜなら、素材の産地と品質にこだわり、いまも創業当時と変わらぬ材料と作り方を守っているからです。

漬け込む地野菜は、提携栽培をしている地元の農家から仕入れたもの。どの農家も長いつきあいのある方ばかりなので、山家漬に見合う品質を心得ていて、つねに最良の野菜だけを選んで届けてくれるそうです。わらびは山菜取り名人といわれる地元の人々が春の山に入り、人の小指ほどもある太くて柔らかなものだけを選んで採ってきてくれます。

店主の今成さんは「できるだけ地元のものを使用したいと思っています。本物の味を目指すには、安全・安心で美味しいものを作り続けることが大切ですが、それには野菜や山菜を届けてくださる地元生産者の方の協力が必要だから」と言います。続けて「誰がいつどこの山で採ったわらびか、また、誰がどのようにして作った錦糸瓜なのかなど、素材にはできる得る限りの責任を持ちたいと思っています」。生産者のみなが知り合いという間柄であるからこそ、今成漬物店には品質のいい、心からの材料が集まります。

仕込みに使う酒粕は、地元の銘酒「八海山」純米吟醸の酒粕を使用しています。磨きぬかれたお米で造った純米吟醸の酒粕ですから、雑味がなく、とてもいい風味。山家漬は、その上等の酒粕をさらに蔵で半年ほど熟成させ、酒粕があめ色になり始めた頃に木桶に入れて漬け込みます。そして、最短でも3か月以上をかけて、ゆっくりと熟成させるのです。

その味わいは、酒粕がしっとりとなじんだ上品な味わい。時間をかけて熟成させているので、香りにも味にも角がありません。フタを開ける、ふわりと芳醇な香りが広がります。その芳醇な香りとまろやかな味わいは、吟味された素材はもちろんのこと、創業当時から変わらぬ山家漬独特の製法から醸し出されたものでした。

手間と時間をいとわない

山家漬は、「生漬(きづけ)」「中漬(なかづけ)」「本漬(ほんづけ)」と、かす床を3度漬けかえて造ります。3回漬けかえることで、酒粕の風味がしっとりとなじんだ、いい味がでるのだそうです。
最初の「生漬」は塩漬けのこと。野菜や山菜を塩漬けにします。この塩加減が美味しさの秘密のひとつ。山家漬は、まろやかな味である一方で、食感は思いのほかシャキシャキとしていて、それも大きな魅力なのですが、その食感はこの塩漬けによって生まれるとのこと。「いい塩梅」という表現があるように、多くも少なくもなく、ちょうどいい塩加減にすることで、瓜やきゅうりの快い食感が保たれるのだそうです。

生漬の次は、「中漬」です。これは素材に染み込んだ塩を酒粕で抜くための漬けかえです。水などで塩抜きをする店も多いのですが、今成漬物店では「水だと塩とともに味も抜ける」と、酒粕で塩を抜きます。

塩を抜いたら、最後は「本漬」です。これは塩抜きした素材に酒粕の味を染み込ませ、熟成させるための最後の仕込み。この後、木桶のフタを開けずに熟成のときを待ちます。

どの漬けかえ作業も、野菜をひとつひとつ木桶から出して、丁寧に酒粕を取りのぞき、その後、また新しい酒粕をつけて、木桶に隙間なく収めていきます。中には錦糸瓜など、ほろほろと割れやすい素材もあるので、まるで赤子を扱うように手の平で優しく支え、手から手へと丁寧に渡されていきます。作業をしている方もみな知り合いの方で、中には数十年来、山家漬を作っているという方も。熟練の方々による手作業は丁寧で手早く、思わず見とれるほど美しいものでした。

越後の文人・會津八一に愛された味

ところで、山家漬のルーツは、大源太(だいげんた)という風向明媚な土地の開拓までさかのぼります。大源太は六日町から車で40分ほどの隣町湯沢にある風向明媚な地域ですが、山家漬は、その大源太で栽培した野菜類を活用するために生まれた漬け物なのだとか。

山家漬の販売を始めたのは、今のご店主の祖父にあたる今成隼一郎氏です。隼一郎氏は地元の町長や県議を務め、上越線の創設に尽力した人物で、大源太の開拓も隼一郎氏の尽力により成されたものでした。隼一郎氏は大源太の土地を開拓して農学校をつくり、そこで学びながら生活できる環境づくりを行っていたのですが、「栽培した農作物を有効利用できないか」ということで今成家秘伝の製法で漬け物にし、販売を始めたのだそうです。

その漬物に『山家漬』という名前をつけたのは、越後の文人・會津八一(あいづ やいち)氏です。八一氏は隼一郎氏の一つ先輩で、二人は旧制新潟中学校(現新潟県立新潟高等学校)時代に出会い、生涯親友として親交がありました。八一は新潟中学校から早稲田大学に学び、文人・歌人、そして書家として活躍していましたが、あるとき隼一郎氏が持参した漬け物を試食してその味わいを絶賛し、八一が好んだ西行の「山家集」にちなんで『山家漬』と名付けたのだそうです。包装紙の山家漬の字も八一の書です。

「それ以来、山家漬の製法は変わっていません。昔ながらの手作業だから、手間がかかって大変ですけれど、この味を伝えていくことは南魚沼の歴史や食文化を伝えていくことにつながっていくと思うので、規模は小さくても、できる範囲で続けていければと…」と今成さん。販売先もくちづてに広がったお客様がほとんどです。お客様の中には「人から贈答でいただいたのだけれど、あまりの美味しさに一言お伝えしたくて」と、送り主だけでなく、今成漬物店にまで感想を寄せてくださる方もいるのだそうです。

山家漬の詰め合わせは小折1,944円からサイズもいろいろあります。道の駅南魚沼 雪あかりや新潟伊勢丹でも取り扱いがありますが、ぜひ一度、お店にも行ってみてください。上品なたたずまいのお店で、とても素敵なご店主が迎えてくれます。お店は六日町商店街の一角、今成薬局のお隣です。看板はないので、おうど色の暖簾を目印に訪ねてみてください。

Ingredient素材

食材の産地
野菜 南魚沼産:越瓜、錦糸瓜、きゅうり、なす
山菜 南魚沼産:わらび
調味料 酒粕:八海山純米吟醸
塩:国産
砂糖:国産

実際の食材は仕入れ状況によりこの表と異なる場合があります。

Artisans職人

塩抜きの終わった錦糸瓜
塩抜きの終わった錦糸瓜を古いかす床から出し、指で丁寧に粕を落とす。

酒粕を練る
熟成させた八海山の酒粕を、ちょうどいい柔らかさになるように練る。この練り加減も味わいを左右する。

酒粕をつける
錦糸瓜を手の平で包むように持ち、練った酒粕を丁寧につけていく。

かす床に詰める
酒粕をつけ終わった錦糸瓜をかす床に詰めていく。このとき、なるべく隙間ができないように並べるのがコツだという。熟練の手により、隙間なく、ぴったりと重ねられていく。

熟成を待つ
最後に酒粕をならしてフタをする。飴色に輝くかす床の中で寝かせて、熟成を待つ。

200年来の蔵と木桶を使って仕込まれる

本格的にかす漬けが始まるのは、9月初旬。かす床を何度も漬けかえながら、木桶に入れて、蔵でゆっくりと熟成させています。この木桶と蔵に付く麹かびなどが発酵を促し、山家漬独特の味わいを生み出しているのです。大きな蔵は江戸時代に建てられたもので、築200年以上が経っています。木桶には慶応年間と書いてあるものもあり、ところどころ修理しながら、大切に使い継がれています。

店舗名 山家漬本舗 今成漬物店
住所 〒949-6680 新潟県南魚沼市六日町1848番地
電話・FAX番号 TEL:025-772-2015
FAX:025-772-2761
URL https://kounoikeya-imanari.co.jp
アクセス 関越自動車道六日町ICから国道17号経由で約7分
ほくほく線またはJR上越線六日町駅から車で約3分
創業 大正時代
代表者 今成正子
営業時間 9:00〜18:00
定休日 なし(臨時休業あり)
主な販売店 道の駅南魚沼 雪あかり(新潟県南魚沼市下一日市855)
新潟伊勢丹(新潟県新潟市中央区八千代1-6-1)
商品 山家漬(越瓜・錦糸瓜・きゅうり・なす・わらびの詰め合わせ)
小折 350g 1944円、中折 700g 3,780円、大折 1,000g 5,400円
7大アレルゲン:なし
賞味期間:10℃以下で60日
販売期間:通年

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